王子様を見つけて?
肩に小さな痛みが走った。
「…った。あ、すいません」
前から来た人物とすれ違いぎわに、肩がぶつかってしまった。
ちょっとよろめいて、斜め後ろのその人物に謝る。
「すいません。大丈夫ですか?」
一度謝ったけど、その返事が返ってこないことに気付きもう一度、今度は振り返って声をかけた。
「………」
まったく返事がない。
「……あの」
顔を覗き込む様にして、その人の前に回り込んだ。
そして、恐る恐る声を出すと
「…てめぇ」
喉が絞りだすような声。
すごく低くて、つい身が縮こまった。
「……え?」
「…てめぇ、チビのくせにちんたら歩いてんじゃねぇよ」
くりっとした二重の瞳が、確実にあたしを睨んだ。
茶色の髪の毛がふわふわしている。
小さい鼻、整った眉、長いまつ毛。
「………………か…かわいい」
「……………あ?」
その人はこちらに向けていた背中を、背けた。
そしてあたしの真正面に立つ。
「誰が可愛いってか?」