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「ねぇ、その煙草一本ちょうだい」
「あ、いいけど。クセあるから、嫌われるほうが多いよ」
一本だけ飛び出して、差し出された、ブルーのソフトケースは少しくたびれた皺がよっていて、それを持つ指がごついけど細長く、節ばったそれぞれにはシルバーのリングがよく似合う。爪はきれいに切り揃えられていた。
「好きなんだ、アタシ。その匂い」
「あれ、珍しい。知ってんの、これ?」
「知ってるよ……」
「男?」
話しが見えない?
なんで、そこで返しが“男”なのか?