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“母親”と呼べるかどうかも疑問な彼女は“愛”に生きる女だったけど、まさしく“女”としての愛であって、“母親”としての愛ではなかった。
そして多分、今でも。
“感情豊か”と男の目には映るのかもしれないが、幼い私には喜怒哀楽の激しいヒステリーな彼女しか記憶がない。
その彼女が、おそらくは私が原因で男に捨てられた日、涙を流しながらアイロンをかけていた。
戻らぬ男の為に、明日の為のワイシャツを……
当時の私は涙の止まらぬ母親に、しつこくその理由を問い続けた。
それがヒステリーを引き起こす理由になるとも知らずに。