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引きずり出されたナオヤは完全寝ぼけ状態でアキトの肩にもたれきっていた。
おんぶと云ったほうが早いが、かろうじて足は地面を引きずる。
確かに私の力でナオヤの長身は支えられない。比べてアキトは更に背が高かった。
そして、手渡した缶コーヒーをアキトが車内に向けて差し出した。
「オッチャン、ありがとね。こんなんで悪いけど、お礼っす」
「……あぁ、すいません。頂きます」
軽く会釈して、タクシーを見送った。
自分で飲むのかと思ったのに、それなりに気のきく奴なのか?
あんなに迷惑そうに見えた運転手が最後に微笑んだので妙な気分になった。