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アキトの位置からは、まだナオヤの表情を窺うことが出来ない。
ナオヤが返事をする素振りもわからないアキトは更に直球を投げるしかなかった。
「……アキラだろ?」
突然に勢いよく振り返ったナオヤは予想外に明るい声で云った。
「ああ〜、アッキーったら何でもお見通しなんだからぁ! この正露丸めっ」
……おそらくは、
《千里眼》と云いたいのであろう。
全くの余談なのだが、ナオヤの周りには何故か親しくなる程にツッコむと云うことをしなくなる傾向がある。
勿論、ナオヤにボケているつもりはなく至って本気で間違っているだけなのだが、周りが皆、慣れてくるとおそらくそうだろうと云う自己完結によりナオヤは間違いを正す機会を失うのだ。よって、形成されたナオヤのキャラは常にこんな感じになってしまうのであった。