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「飛んでないよ、約束した話だもん。ピラピラの紙に書くでしょ? 願いごとをさ」
“飛んでないよ”の言葉に合わせて、ナオヤは《けんけんぱ》をしながらアキトから遠ざかる。またも両手をポケットに突っ込んだまま、ピョンピョンと片足で跳ねる。
その様子を小さい子供を見守るようにアキトが眺める。
「短冊のことだろ?」
聞こえているのか解らない位置で両足を開いて止まったナオヤが答える。
「そうそう、そのタゴサク!」
(ちげぇから……耳悪いのかアイツ? いいや、音感とかは申し分ないんだから、悪いのは頭かっ!?)