悪魔なお前のせぇで、俺は一生恋人が出来ないままだ!
「……」
『お金は2000万くらいあらゃよかね。お願いで(ブツ……ぷーっ、ぷーっ、ぷーっ』
ガチャン
兄は電話を切った。
「なぁにぃ、誰からの電話なの?」
ラムは半開きの目をした汗だくの顔だけを、台所の出入口から出した。
「なんでもねぇ。サギだ。ばぁちゃんサギ」
兄は落ちついた様子でそう言った。
ぴりりりり……
ぴりりりり……
兄の血が、頭に集結しようとしている。
再び受話器を手にとり、電話を耳に近付ける。
『めーちゃんはきびしいのぉ。父ちゃん母ちゃんに似ても似つかぬ。少しユーモアをもたなければのぉ』