悪魔なお前のせぇで、俺は一生恋人が出来ないままだ!
「あぁ!あの有名なラムちゃん!みんみん君の妹だったのね!」
「そう!そのとおり!妹なんですよ明里ちゃん」
兄が、ようやく安心したように深く息をついた。
しかし、ラムは兄の一瞬の隙を逃さなかった。
……口元
………………口元がほころんだ。
ほんの瞬間的な出来事だった。
だが、ラムは見逃さなかった。
ラムの目が、一瞬にしてつりあがる。
な、なんなのよ、この女、お兄ちゃんにきやすく……!
お兄ちゃんもお兄ちゃんよ!なんで女に話し掛けられてるの!でれでれしちゃってさ!お兄ちゃんが女と喋るなんて一生なくていいことなのよ!
ラムがむっとほっぺたをふくらませた。
そして、その顔を兄の後ろに回り込み、明里にみせつける。
たいていの人間ならばこのとき、「あ!大事なお兄ちゃんをとってごめんね!」などと言って兄との会話をやめる。
そして、決まってラムが「いえいえ、今から用事があるのですが、兄が動こうとしないので兄に一言言おうとしただけです(にこっ!)」と、答えるのだ。
そして、「すごいね!立派な妹さんね!大切にしなさいよ」みたいな感じに誘導する、ラムの戦略。