last Wish〜最期の願い〜
そして…5時44分。
ゆっくり歩いたはずなのに
もう、私の家の前だった。
「着いちゃった…」
私が少し、残念そうに言った。
「あみ」
隣で拓の呼ぶ声に、振り返った。
拓の顔が近づく。
私は、ギュッと目を瞑る。
…拓の顔は、私の顔の横にきた。
「え?」
私は、目を開けた。
…瞬間、拓が私の耳を
吐息混じりで軽く噛んだ。
「ひゃぅッ」
耳が弱い私は、意味の分からない声をあげた。
私から離れた拓は、爆笑してる。
「ちょっと拓!」
真っ赤になった顔で、拓の頭を叩こうとした。
…するとまた、拓に先を超された。
拓の顔が私の顔の下まで来て
「また明日ね、あみ」
って言って、拓の唇が、
首筋に優しく触れた。
身体中がゾクゾクした。