奥手!?な彼氏
『…元気ないけど、どうしたの?』
沙織が不意に質問を投げ掛けて来た
気付いては居るんだろうけど
敢えて直球では聞いて来ないのが沙織の良い所
だから私も沙織になら、どんな事だって言えるんだ
「…遊馬の事なんだけど…付き合って半年経つのに遊馬からは何もして来ないんだ…まだキス止まりだし…」
私は溜めていた不安を沙織に全部吐き出した
沙織は私が言い終わるまで真剣に聞いてくれた
『そうなんだ…うーん…私も遊馬君の事は良く判らないけど、告白されたからって付き合うようには見えないよ?』
確かに…
でも不安は消えない
モンモンとしていると今まで黙っていた大紀が口を開いた
『俺にしちゃえば?』
「…え?」
予想外の言葉に何も言えなかった
沙織も同じだったみたいで
口を開けて大紀を見ていた
そんな様子など気にもせずに大紀はお構いなしに私に顔を近付けて来る
『俺ならみーちゃんを不安にさせないし、大切に出来るよ?』
大紀の顔がめちゃめちゃ近い
教室のみんなの視線が私達に注がれる
普段はおちゃらけた感じで和ましてくれていた大紀はどこへやら…
今、目の前に居るのは一人の男としての大紀だった
多分、私の顔は真っ赤だろう
どう答えて良いか判らずにアタフタしていると大紀は困った顔をして離れた
『ごめんね。みーちゃんを困らせたくて言った訳じゃないんだよ?』
不意に手を握られ満面の笑みを向けられた
『遊馬はみーちゃんの事が好きだと思うよ?だから自信持って。ね?』
何だか今日は大紀に励まされてしまった…
沙織も珍しく大紀を褒めていた
ガラガラ
『みんな席に着けー。HR始めるぞー』
担任が入って来て出席の確認を始めた
特に何か話がある訳じゃなく
HRはあっという間に終わった