あたしのご近所さん。
「………寒っ」
美雪ちんはそう言いながら俺の手を握った。
「え?」
あったかい体温が俺にも伝わってくる。
美雪ちんはまた赤くなった。
「寒いから…繋いでてもいい?」
俺は笑って「うん」と言って傘を閉じた。
「なんで傘閉じたの?」
美雪ちんは不思議そうに聞いてくる。
「一つの傘の方が繋ぎやすいだろ」
だけど雨はもう降っていなかった。
「雨降ってないや。……はい」
俺は左手を差し出した。少し照れくさい。
美雪ちんも傘を閉じると恥ずかしそうに右手で握った。
まだまだ恋人にはなれそうにないけど
いつか美雪ちんの彼氏になれたらな。
繋いだ手は恋人つなぎではないけれど
俺の心を暖かくさせた。