あたしのご近所さん。
「はーぁ、楽しかったなぁ。カラオケ」
和樹くんはベンチに座りクスクスと笑う。
光輝と麻耶を車で送った帰り、あたしは和樹くんに「公園に出て話をしたい」と言って、寒い中、家から近い公園のベンチに座っている。
「…ん、そうだね」
北風がピューッと吹いて頬が痛い。ほんの一部、マフラーの触れているところだけ暖かい。
ファミレスなら暖かいけどこういう話はしたくないから止めた。
車でもいいけど、またキスされたら嫌だ。
「……うん」
ふうと和樹くんは小さく息を漏らした。
その息は薄く白い霧になり空気と交じって消えた。
「で、話なんだけど」
沈黙が続けば言い出せなくなるので、単刀直入に切り出した。