あたしのご近所さん。
「あぁ、そうだな」


と適当に返す。有田は少し俺の方に体を寄せた。


「…でどこを教えてほしいんだ?」



俺は持ってきた資料をパラパラとめくる。

江戸時代は個人的に好きだな。あと…明治維新のあたりからあともいいな。



「先生、違うの、あのね……」



有田はさらに俺に近づいてくる。思わず、後ずさりした。


「ちょっと……嫌なことがあって…誰にも話せなくて…」


そうだったのか…。
そんなに俺を頼ってくれるなんて…

生徒というのはあまり先生に相談してこないものだ。

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