空色パステル


数ヵ月後………


「拓弥…あのね…よく聞いて?」

「別れ話なら聞かね~」


能天気な拓弥。
少しむしゃくしゃするけれど真剣に話す。




ゴクン……



「……赤ちゃん、いるって」





は?

あたしは自分の言葉足らずさに驚く。



「…本当に??」

拓弥も真剣な顔をしている。



あたしは頷く。

「病院行ったら…4ヶ月入ったとこだって」



しばらくの沈黙…



「……産んで?」

「…ん?」

拓弥の一言に理解が追いつかない。



「だから……
赤ちゃん産もうぜ?」




その一言にあたしは涙が溢れ出た。



「……いいの…??」

「泣くなって…

お母さんになるやつが
泣いてどうすんだよ?」


知らずのうちに拓弥に抱き着いていた。





『ありがとう…』

声にならない声で言う。




あたし、頑張るからね?
拓弥も一緒に頑張って?






「…触ってもいいか?」

頷くあたし。


拓弥の大きな温かい手があたしのお腹に触れた。






「ここにいるんだな~
って、俺パパか」


お腹に触れた手からは愛を感じた。




「名前何にしよっか?」

「拓弥、早っ!!」



あはは、と笑うあたしと拓弥。



あたしのお腹の中には小さな小さな命が息づいていた。







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