空色パステル
「…おぎゃあ……」
赤ちゃんの泣き声がする。
あたしはママになった。
隣では拓弥が涙目であたしの頭を撫でてるし、
あたしの胸の上では
生まれたばかりの赤ちゃんが泣きわめいている。
「可愛い女の子ですよ」
助産婦さんが言う。
顔を見ると、可愛かった。
「拓弥、あたしたちの赤ちゃんだよ?」
「可愛いな…」
「うん」
あたしは19歳でママになった。
ママになった喜びと
赤ちゃんへの感謝の気持ちが混ざって
涙となって溢れた。
赤ちゃん…
あたし、本当は産むことが怖かったんだ。
でも今は…
あなたを産んで良かったって思う。
あたしと拓弥のところに
生まれてきてくれてありがとう……。
赤ちゃんは新生児室に連れていかれた。
それからしばらくして、あたしは病室に移動した。
「美緩、大丈夫か?」
「うん^^元気そのもの★」
「そっか、無理すんなよ?
赤ちゃんの名前、考えたんだけどさ…?」
拓弥は紙を取り出して大きく文字を書いた。
「…葵(あおい)……??」
「そ。葵って言う花のように、
ただ真っ直ぐ、素直な子になってほしい
っていう願いからつけたんだ。
…どうかな?」
葵……。
もう一度、心の中で繰り返してみた。
「いい名前だね^^♪
葵。よし、決まり!」
「だろ?♪
新生児室に行ってみるか??」
あたしは頷いた。
壁伝いに歩いて新生児室に行く。