空色パステル
―痕跡
――…過去。
あたしにとって、
『過去』
はとてつもなく大きくてとてつもなく辛くて最悪なもの。
だから、あたしは過去を振り返らないんだ。
振り返ったとしても、いい方向に向かうわけではないし、
今更もう一度嫌な思いをする必要なんかないと思う。
ただ、
『お父さん』
という存在のせいであたしはいつも辛かった。
ごめんね。
あたしは何もできない…
―――小6 春
「いってきまーす!!」
元気な声が響き渡る。
勢いよくドアを開け、外に出る。
春の柔らかい陽射しが眩しい。
今日は始業式。
小学校生活もラスト1年。
新しい気分で学校へ向かう。
「ち-ちゃん☆おはよ」
「おお、美緩おはよ♪」
「ねぇねぇ、クラス同じかな?」
「だといいねっ☆」
ち-ちゃん…
千夏(ちなつ)はあたしが小2の時、転校してきた時からずっと同じクラス。
とても仲の良い親友。
2人でクラス替え発表を見に行く。
あたし達の小学校は、珍しく毎年クラス替えがある。
表を見ると、全部で4組に別れていた。
あたしの名前が1組に、千夏の名前が2組に書いてあった。
「「…離れちゃったね」」
2人でがっかりする。
そして別々の教室に移動する。