空色パステル


―――小6 夏休み




ある日の夜中、ふと目が覚めた。



お母さんとお父さんが喧嘩をしている。




「…美緩は俺には無理だ」




?!




「なんでよ…?」


「俺の子供じゃないんだろ?だから無理だ」



俺の子供じゃないって?



何それ…。



あたし知らない。

そんな話…。





「………」





「…な?奏斗と陽菜だけは俺が連れていく」



ふざけないで…


なんであたしだけなの?




溢れ出す涙が止まらなかった。




ずっと信じてきたものが一気に崩された気がした。



「美緩だけ離すなんてできない!!
私が3人を連れてく!!」


「それでいいんだな?
じゃあ、ここにサインして。」


お父さんが差し出したのは印鑑と…





…離婚届だった。





あたしは見るのに耐えきれなくなってその場にしゃがみこんだ。




数えきれないほどの涙が頬を伝って流れ落ちる。




「…しょっぱい…」




ドアの向こうにいるお母さん達に聞こえないよう呟いた。



涙がしょっぱい味を口の中に残した…。



お母さんが印鑑を取り、離婚届に押すのが見えた。




嫌だよ…



離婚なんて…嫌だよ…





あれだけお父さんが嫌いだったのに、

最後に溢れてきた思いは…



この家族で過ごす時間がなくなっちゃう、




寂しさだったよ…。





走って自分の部屋に戻り、ベッドに潜り込む。





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