空色パステル
RRRR…
朝から電話が鳴る。
「もしもし?」
あたしが子機で電話に出る。
『美緩ちゃん?あたし千夏だけど』
「ち-ちゃん!!どうしたの?」
『あのさぁ…
今日これから暇??』
「うん!暇だよ~」
『やったっ☆
じゃあ9時に駅でね!』
「わかったあ~」
そう言って電話を切る。
子機を置いて、自分の部屋に戻る。
服の準備をしていると、お母さんが部屋に入ってきた。
なんとなく言われることはわかっていて聞こえないフリをした。
「美緩。あのね…
引っ越すことになったの」
やっぱり…。
あたしがこの間の夜中、聞いてしまったことは本当のことだったんだ。
「わかった」
一言、返事をするとお母さんは部屋から出ていった。
離婚なんでしょ?
あたし、知ってるよ。
思い出すと涙が溢れて泣き出してしまいそうで我慢した。
怖かった。
さんざん嫌な思いしたけど、まだ忘れられなくて。
机の上に飾ってある家族写真を見つめる。
みんな笑っていた。
優しい笑顔だった。
いつからかな?
家族みんなで話したり、出掛けたりしなくなったのは。