空色パステル


コトン………。



写真立てが風で倒れた。


それは、あたしたち家族の終わりを告げているようにも思えた。




あたしは倒れた写真を直す気にはならなかった。


なぜかわからないけど、もうどうしようもないんだと思えたから。




自然と世界はあっけなく変わっていくもので。


あたしにはただ流されることしかできなくて。



決まってしまったことは変えられなくて。


どんなに願っても帰ってこないもので。





届かない願い事。


戻らない日々。


きらめく思い出。




全て胸にしまい込んであたしは歩き出すよ。



家族が家族でなくなってもあたしはあたしのままだから…。


たくさんの思い出を抱えて、あたしは家を出た。




空を見上げれば、雲ひとつなかった。


きれいな青空。



風が吹き抜けていく。




あたしには風の声が聞こえた気がした。


『美緩は1人じゃないよ』

って。


『みんないるよ』

って。




家族は違う道を今、


歩き出す…。



まっすぐに………。



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