空色パステル


「美緩!!行くよっ」

ち-ちゃんがあたしの手を引っ張って歩き出す。


ち-ちゃんが最初に向かったのは映画館。

「ちょっと待ってて」


そう言ってち-ちゃんがどこかに行ってしまった。


……―何見るのかな??



聞くに聞けないままち-ちゃんからチケットを受け取る。


ピンク色の小さなチケット。


あたしはそれを手帳にしまった。

…―思い出にするために。



「まだ時間あるから、プリ撮ろっか?」


「うん!!」

2人でゲームセンターに入ってプリをたくさん撮る。

ち-ちゃんがプリの端に小さく

『ずっと大好き』

と書いてくれた。


なんだか嬉しかった。

けど、逆に寂しかった。




…ち-ちゃん。

あたしも大好きだよ。


あなたは最高の親友。
絶対に忘れないよ…



ち-ちゃんの背中に語りかける。

UFOキャッチャーでミニーのぬいぐるみを取るち-ちゃん。


すごく真剣な目をして…


「取れたぁ!!」

ち-ちゃんが叫ぶ。


商品出口を見ると、2つのミニーちゃんのぬいぐるみがあった。


「…あれ?2つあるよ??」


「千夏と美緩の分っ♪」


そう言ってち-ちゃんは片方をあたしにくれた。


ミニーちゃんが

『大好き』

と書かれたハートを持っている。

とても可愛い。



「ち-ちゃん、ありがとう」


小さくお礼を言う。


少し照れるち-ちゃんが可愛くて…

ずっと隣で笑っていたいと思うんだ。



映画が始まる時間になって、大急ぎで映画館に戻る。


売店でジュースとポップコーンを買い、映画を見る。



「…ね、ち-ちゃん?」


「ん?」


「ポップコーン食べる??」


ち-ちゃんはポップコーンが嫌い。
それをわかってて言うあたし。


「ありがとう。
1個ちょうだい??」

珍しくち-ちゃんが食べた。

「偉いっ♪」


「もう映画始まるよ??」


「あ、そうだね」

急に静かになる。

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