空色パステル



「美緩ちゃん…これあげる」


映画を見終わり、映画館を出たあたし達はベンチに座っていた。


ち-ちゃんがおもむろに紙袋を取り出して、あたしに差し出す。



「ありがとう♪
開けてもいい??」


「うん☆いいよ」



ち-ちゃんがくれた紙袋を開ける。



中に入っていたのは…―





黒猫にラインストーンが付いた、キラキラ光るストラップだった。




ち-ちゃんは自分の鞄を開け、同じものを取り出す。



「えへへ、一緒♪」


2人で笑い、カチンと同じストラップをぶつける。



「離れてもずっと一緒っていう願いで☆」


照れくさそうにち-ちゃんが言う。


優しさが心に染み渡った。




それから2人で買い物をして、お揃いのものをたくさん買った。


2人で遊んだことを決して忘れないように…。





―…ゴーン…ゴーン


鐘が鳴った。

時刻は18:22。



大好きなこの時間とち-ちゃんとのお別れ。



「…時間だね。帰ろっか、」


ち-ちゃんの言葉とともにあたしの目から涙がこぼれ落ちる。




「…泣いて…いいよ。

今はいっぱい泣いて、新しいところでは笑ってね??」



そう言ってあたしの頭を撫でる。



ち-ちゃんの言葉全てにたくさんの意味があって、あたしは泣いてしまった。



大好きなち-ちゃん…


大好きな友達…


大好きなこの地…


大好きな空…



全てが大好きだった。



大好きなもの全てにお別れをしなくてはいけない寂しさが溢れて止まらない。



みんな…

ありがとう。




涙と笑顔を残して、


あたしは違うところへ行ってしまった。




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