空色パステル

「お姉ちゃん、はい携帯♪」

陽菜が満面の笑みで携帯をあたしに渡す。

誰だろう…?


携帯のサブディスプレイを見ると、『遼』の名前。

胸がはね上がるほど驚いた。
ドキドキが止まらない。


深呼吸をして電話に出る。





「…もしもし?」


『―…舟本です★』

遼だっ!!

さっき話してたばかりなのに久しぶりに声を聞いたみたいな感覚になる。


遼の甘く、優しい声を聞いてあたしのテンションはMAXに到達した。


「遼っ…!!」


『ん?』


「…なんでもない♪
……電話くれてありがとね★」



恥ずかしくて思うように口が動かない。
だけど、ちゃんと言えた。

電話ありがとねって、言えた!!



『全然★
俺がしたかったから……さ』


電話の向こう側で遼が照れてるのがわかる。

遼の言葉であたしも照れてきた…



「…えへへ」


『俺、美緩のこと…
大好きだから…
大切にするからさ』




遼の言葉にドキドキする。




「ありがとう…」


ドキドキが止まらない。







それからあたしと遼はたくさん話して…
電話を切った。


最後に「大好き」と言って。



あたしは男子と電話なんかしたことがあまりなくて…
相手の一言一言にドキドキしたことなんてなくて…


全てが初めてだった。



今までたくさん恋をして、その分傷ついてきた。

でもその恋、一つ一つに意味なんてあまりなかった。



あたしにとって恋はただ経験になればいいもの。

だった気がする。





だけど、今あたしがしている恋はなんか違う。

自分の身に起こること一つ一つが新鮮で珍しいもののようにも思えるよ。




これが『大好き』ってことなのかな…?





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