空色パステル
いつもの待ち合わせの場所に
里織はいない…。
これもいつものこと。
コートの袖を少しまくり、
腕時計を見る。
時刻は8:00―…。
いつもならこの時間には
来てるのに…
なんて思いながら歩き出す。
『待つ』なんて言葉は
あたしには無い。笑
実際のところ、
『約束の時間までに
来なかったらおいてく』
という約束だけは唯一ある。
この約束が無かったら
あたしは待ち続けて
学校に遅刻してしまうだろう。
「早く来てよ~…涙」
心の中で言ったつもりが
言葉になってしまった。
あたしは半泣き状態。
がっくりと肩を
落としながら歩くあたし。
「美緩ちゃーん!!」
後ろから肩を叩かれた。
反射的に振り返る。
そこには楓が立っていた。
「あれ、かえちゃんだ」
大きなくりくりした瞳で
あたしを見つめる。
可愛い…笑
女のあたしから見ても
可愛いから男子なんか
一瞬だろうな…
2人で歩き出す。
すると、楓が口を開いた。
「ねえねえ
美緩ちゃんてさ、
好きな人いる??」
またこの話題…
いい加減うんざり…笑
女子って本当この話題
好きだよな~
なんて思うあたし。
だけど、意外と
好きだったりもする。笑
だけど本当のことはあまり言いたくないから、
わざと曖昧な返事。
「うーん…
いる……かな★
かえちゃんは?」
いる…かな?
じゃなくて、います。
あたしは遼が好き。
とてもとても大好きな
あたしの小さな彼氏。
少し間が空いて、楓が話し出す。
「うち??
…遼ちゃんだよ…♪
これ、内緒ね?」