空色パステル
家に着くと、部屋は真っ暗。
電気を付けて、デジタル時計を見ると
“2月 7日 19:13”
の表示。
バレンタインまであと一週間……。
まずは作るもの決めなきゃ…
テレビの電源をつけると
騒がしい声が聞こえてきた。
バレンタイン特集のような番組をやっている。
『―やっぱり本命は
生チョコですよねえ♪』
司会の人が満天の笑顔で言う。
この笑顔がいわゆる営業スマイルってやつ?笑
なんて思うあたし。
「生チョコとか面倒臭そ~…」
なんて言いつつ、熱心にメモする。
「よし、生チョコにしよっ★」
と決めた瞬間、携帯が鳴った。
『新着メール受信 千波』
サブディスプレイに映る文字を見て
少し安心する。
【From:千波
Subject:みひろー♪
―――――――――
バレンタインあげるよねっ?!】
みんなバレンタインの話するね
もういい加減聞きあきたーっ
と思いながら返信を打つ。
【To:千波
Subject:うん^^
―――――――――
あげるよう♪】
送信……っと。
千波は何あげるんだろ?
しばらくして携帯がメールの着信音を奏でる。
【From:千波
Subject:無題
―――――――――
そっかあ~
何作る?!
あたしは生チョコっ(∀)】
生チョコだよね、定番だもん
よし、決まり!!
生チョコ作る!
【To:千波
Subject:無題
―――――――――
あたしもだよ~
生チョコいいよね^^】
送信――…。
誰にあげる?
遼は絶対。
友達は大好きな人。
拓弥は……
あげようかな、どうしよう
まあ…余ったらでいいか★
淡い気持ちで決定。
材料は明日にでも……
とか考えているうちに、眠りについた。