ゆびわの魔法
「あれ?ヤエ姉ちゃんは?」
隣のベッドにはもうヤエ姉ちゃんはいない。
「もう出たよ」
「ふーん。………ってもうこんな時間?遅刻するじゃん!制服どこだ!」
私が制服を真剣に探しているとお母さんが「ユウくんの夢見てたの?」と言い出した。
「………何で分かったの?」
「寝言。"…ユウくん"ってゆってたから。」
私は鏡の前に立ちつつ、やっと見つけた制服を着て髪をときながらお母さんと話す。
「まあもう昔の事だよ。」
「サエ…ごめんね……」
「何でお母さんが謝るの?意味分かんないよ?もう学校行ってくんねー」
できるだけユウくんの話は避けたかった。
「………行ってらっしゃい…あ、忘れ物!」
お母さんが渡してくれたのはユウくんから貰った指輪。
「……いってきまーす。」
私は指輪を握りしめながら家を出た。