♥兄恋♥
「乃愛ちゃん大丈夫なんかじゃないよ」
「…」
「大丈夫な人は泣かないよ?」
きっと遼が居るときから泣いていたんだ…
一人じゃ悲しくて、誰かに支えてほしくて…
なのにあたしは強がってたんだ。
「乃愛…」
後ろのドアが開いて遼の声がする。
頭に遼の手が乗る。
優しくて大きな手。
遼はなにも言わないで、あたしの部屋に連れていってくれた。
ぼやけた視界の中、翔樹くんが心配そうにあたしを見上げていた。