♥兄恋♥
次の日遼は遅く帰ってきた。

至るところに傷を負って。


理由は聞かなかった。

聖司のことだから。

手当していたら電話がなった。

『乃愛ちゃん?』

「はい。」

『私よ。わかる?』

優しい女の人声だった。
あたしの初めてのお母さん。


まだ呼んだことはないし、本当のお母さんじゃない。


「マミさん?どうしたんですか?」

『今日は仕事で帰れそうにないの。』

「わかりました。」

『いつもありがとう』

「いえ、感謝するのはこちらの方です。」

堅苦しいかもしれないけど
こんなふうに話すのは初めてだった。

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