ボクは腐女子に恋をする【短編】
丁度校門にさしかかった時、
後から女子の声がした。
「藍川センパイ!」
ボクたち二人はほぼ反射的に振り返った。
ボクは振り返る必要はなかったのだが、
姉と同じ苗字なのでつい反射的に振り返ってしまう。
そして、走ってくる少女の姿を認めたとき
『ドクンッ』
何かがボクのなかで弾けた。
「センパイ今帰りですよね?これありがとうございました!」
彼女が袋を姉に渡している
いや、そんな事はどうでもいい。
なんだこれ……
心拍数が上がっている
「あれ?あなたは…」
「ああ、こいつは私の弟。」
すると少女はこっちに笑いかけた
「はじめまして!私、山仲 令(やまなかりょう)と言います。男みたいななまえですけど。よろしくね」
くそっうまく息ができないっ
なんなんだっ
「……?顔が赤いですよ?熱でもあるのでしょうか?」
そう言って彼女はボクの額に手を置いた
触れられた額から熱が広がる。
体が…熱いっ
ヤバい、死ぬっ…
「だッ大丈夫ですよっ?ぼく…あっ…藍川涼樹(あいかわすずき)っていいますっ。」
できるだけ平静を装っていったつもりだったのに
声が上ずってしまった。
うるさく響く心音が相手にバレないかとまた緊張する