あたしの初彼☆王子様はお姫様??
目の前にはあたしを見て、ニッコリと微笑む葉瑠夏君。

「なんだよ。そんなにビックリすんなって」

あの日のあの笑顔とこの声。



………葉瑠夏君がなんで??



なんでこんな所にいるの??



友達と買い物した帰り道。



友達はバイトで先に帰って、一人だったあたし。



ってか偶然にしても、状況的には助けてもらった感じだし。



「あのさ~~、桃歌ちゃん、可愛いから目立つんだよね。気をつけなよ。世の中、向陽みたいな優しい男ばっかじゃないんだからさぁ」



そう言ってあたしの頭を何度も撫でる葉瑠夏君。



ここは葉瑠夏君にお礼を言うべき……だよね。



「葉瑠夏君、ありがと…」



動揺しまくりのあたしはこのひと言がやっとだった。



葉瑠夏君は目深にかぶった帽子を直しながら、



「そういえばさ、向陽、寂しがってたよ。桃歌ちゃんから連絡来ないって。俺にお礼なんか言わなくていいからさ、向陽にメールでもしてデートしてあげてよ。ねっ♪」



と、あたしを見ながらそう言うとまたあの笑顔でニコっと微笑んだ。
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