あたしの初彼☆王子様はお姫様??
そうだった……あの日……。



夕方、お母さんが、



「桃歌~~!お友達が来ているわよ。一人で来たのかしらね。珍しいお客さんね」



と、玄関先であたしを呼んだ。



リビングでおやつを食べていたあたしは、



「はぁい。だぁれ??」



そうつぶやきながら、玄関のドアを開けた。



「桃歌ちゃん!」



「……向陽君?どうしたの?」



そこにいたのは、隣のクラスの男の子。



名前は確か……向陽君……。



名前はなんとなく知ってはいたけど、話をしたことはなかった子。



その男の子の目は少し赤くて、涙で潤んでいた。



「僕ね……今日……引越しするんだ。だから、だからね……僕、言いたくて……あの、その…桃歌ちゃん、僕ね……」



そう言いながら、あたしと目が合うと真っ赤になった頬を押さえ、



「僕、桃歌ちゃんが大好き。それはお引越ししても変わらないから!!」



大きな声でそう言い終えると、



「桃歌ちゃんは…桃歌ちゃんは僕のこと……好き?」



と、聞いてきた。



好き??



そんないきなり言われて、驚いた上に、



好き?なんて聞かれて、



幼稚園児のあたしは大パニック。



そして気がついたら、次の瞬間、



首を大きく横に何度も振っていたあたし。
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