せんせいは15才

雨。やまないなあ・・




昨日から降り続く冬の長雨。



こんな雨の日も、



黒崎は工事現場で夜、肉体労働しているのだろうか。




正直、彼の体が心配だ・・・




と、そのとき、あたしのケータイがなった。



表示は<理事長室>となっている



「かずいか?わしじゃ。」



「どうしたの?」



「いや、さっき黒崎君から連絡があってな。
どうも風邪を引いたらしく、君にうつすといけないから
今日は家庭教師を休みにしてほしいと」



「え・・?本当に?」



絶対・・昨日の冷たい雨のなか
工事現場なんかで働いてるから、風邪ひいたんだ。
もう肉体的にも限界がきているんだろうな



私はいてもたってもいられなくなった。



「おじいちゃん、黒崎君の住所教えて」



「心配しているのはわかるが、それでは彼の意向に
そむくことになるだろう。家で自習して明日の準備をしなさい」



「イヤ!!!」



このままだと、集中なんてできない。



私に、できること、させてください。


粘って粘って、ようやく住所を聞き出した。



最後はじいちゃんもあきれて



「テストに支障をきたすんじゃないぞ」



とだけ言い残して、教えてくれた。



私は、雨の中を全速力で走った。



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