せんせいは15才
私はびっくりして振り返った。
「かずいさん・・?どうしてここに?」
ゲホゲホと咳をしながら。つらそう。
「・・部屋、入って!!外寒いし」
--------------黒崎の部屋。
殺風景で、何もない狭い部屋。
おそらく・・黒崎は一人で暮らしているのだろう。
この年で、一人で暮らさねばならない理由。
それはバイトで働きづめにしなければならない理由とつながってくるだろう。
黒崎のはかりしえない頑張りがそこにあって、
それを感じ取って胸が熱くなった。
「・・風邪うつるから・・かえってください
明日・・本番なんですから」
「いいの、あたしの意思で!こうしてんだから。
あたしバカだし、体丈夫だから風邪ひかないよ」
「はは・・」
黒崎はゆがんだ笑顔を見せた。
「あたし、色々買ってきたんだ。薬に、果物に・・」
「そんなこと・・」
「いいの。いつもあたし、してもらってるばっかじゃん?
たまにはお返しさせてよ」
黒崎は、反抗するのをやめたかのように、息をふうっとはいて
目を瞑った。