幸せ色の贈り物





「次はカラオケだから。」


「はぁ?喫茶店とかにしようよ。」


「いいの。喫茶店は後で。」


ちょっと風邪気味だからなんて下手な言い訳をするエレナを無視してさっさと会計わ済ませた。


あまり乗り気じゃないエレナを、半ば強引に引っ張ってあたしたちはお店から出た。




「よし、次はカラ……」


そう言い掛けた私の目に、たまたま入ってきた文字。


“クリスマス☆特集!2009”


表紙にデカデカとそう書かれた雑誌だった。


確か、あの時は“2006”だったなぁ…


「…あたしら出会ってちょうど3年なんだねぇ…。エレナと過ごす3度目のクリスマス…だね。」


エレナと過ごす3度目のクリスマス…


あいつにフラれて、もう3度目のクリスマス……






「あぁっ!」


突然後ろから聞こえてきた女の子の声は、感傷に浸っていたあたしを一気に現実に引き戻した。


「ホワイトクリスマスだぁ!」


感嘆の声を上げる彼女の言葉に、チラッと顔を上げる。




街中がカップルで賑わい、目を細めたくなるようなキラキラのイルミネーション。


空を、ゆったりと流れる雲。


真っ白なじゅうたんが敷かれたロータリー。


パラパラと舞う結晶…




目の前の景色が、記憶の片隅にある、3年前の景色に重なった――…









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