幸せ色の贈り物





2人が別れた。


そんな噂が流れてから1週間、とうとうクリスマスを迎えてしまった。


私はもう、準備万端――…


と、言いたいとこだけど…


「チヅ、おはよ。」


昇降口で靴を履きかえていると、突然声をかけられて、あたしはとりあえず頭をペコッと下げる。


そんなあたしの様子に、不思議そうに首を傾げる友達。


キョトンとしている彼女に、あたしは今日何度目かわからないジェスチャーをする。


口を指差してから、腕を交差させ“Χ(バツ)”をつくって見せた。


「あぁ〜そういうことか。お大事に…」


あたしのジェスチャーに納得したように大きく頷いてみせると、彼女は苦笑いした。


あいさつをすませてさっさと階段を上がっていく彼女の背中を見送りながら、あたしは大きなため息をついた。


そう。


馬鹿なあたしは、こんな大事な日にまさかの風邪を引いてしまった。






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