幸せ色の贈り物
「チヅ?」
がくっとうなだれていたあたしは、突然聞こえた声に慌てて振り返る。
「あ゙ーーバア゙ー!!」
「ぁあ?何言ってんだかわかんねぇ。てか声ひでぇな。」
目を見開き、出ない声で必死に驚きを表したあたしに、目の前の彼は悪戯っ子みたいに微笑んだ。
「ほら。これ使え。」
そう言って差し出されたそれを素直に受け取る。
彼愛用の黄色のスケッチブック。
絵の才能のあるマサは、このスケッチブックを1年の頃から愛用している。
この黄色のスケッチブックは、2人で遊びに行ったときにマサが買ったもの。
マサに連れられてお店に入ると、マサは真っ先にあたしに聞いた。
『何色が好き?』
って。
迷わず黄色って答えたあたしに、迷わず黄色を手にとったマサ。
そんなことがすごく嬉しかったのを覚えてる。