刹那腐レンズ【もう一つのあたしとあいつ】
いつか言ってたね。

『男女の友情はない』って。

だから、これは友情や愛情じゃなくて、
ほんの少し、透明人間のあたしが見えるようになっただけ。
一時的に。

だからもうあたしは、見えなくなった?

そうでしょ?

あたしは、透明人間じゃなかった時間が楽しかった。

あたしは透明人間じゃなくて、白い布だった。
みんなの色で染められながら、その中で自分の色と
居場所を見つけた。

でも、その場所も時と共に過ぎ去った。
そして、あたしも・・・


透明に戻った・・・。


今、この場所にあたしの居場所は欠片だけ。
あたしは、その欠片を求めて探し回る。
かすかに色づいては消える。
また、繰り返す。
作った笑顔で、居場所へ戻ろうとしても、
拒んで消える。

もがいて、求めても手に届かなくて・・・。
手に入らない・・・。
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