ツンデレラは王子の夢を見る



思い知ればいい。



たまに見せる笑顔に、どれだけの破壊力があるのか。


不安げで弱々しい声とその表情に、オレがどれほどの魅力を感じているのか。




(―…オレにどんだけ好かれてんのか、)




譲は自分でも気付いていないのです。



彼女がどんな気持ちで自分に接しているのかということに。


麻尋の微笑んだ眼差しに映れたのが譲だけだということに。




「……見てた、」


「ん?」



麻尋の唇が、言葉を形作っていきます。



「…すきなひと、見てた」



真っ赤な顔で、少しばかり舌足らずな言葉でした。



―…すきなひと?


桐谷が見てたのは、いつもオレでしょう?




期待してもいいのだろうか。


彼女の視線を独占する自分は、彼女の好きな人なのだと自惚れてもいいのか。




(“気持ちが抑えきれなくなったら”…答えは、もうひとつだけだ、)



好きだよ、好きだ。


笑うのも、甘えるのも、デレるのも、全部オレだけにしなよ。




「―…好きだよ、オレと付き合ってほしいんだ」




一世一代の勝負。


運命の賭け。




譲がこの告白の結果を知るのは、あと数分後の話。




end.




.
< 36 / 36 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:2

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

which?
ゅきカ/著

総文字数/16,866

恋愛(その他)45ページ

表紙を見る
君中毒-Another Stories-
ゅきカ/著

総文字数/17,876

恋愛(その他)41ページ

表紙を見る
君との距離、2歩分。
ゅきカ/著

総文字数/102,608

恋愛(その他)327ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop