私の涙
さきの想い
――――それから10年が経った―――
あれからさきは、母の姉・美佐子に引き取られた。
さきは15歳になり、今年の春で中学を卒業する。
二人とも10年前の悲しみを背負いながら、日々を過ごしいていた。
「さき、忘れ物ない?」玄関先で慌てて靴を履いているさきに言った。
「もう、子供じゃないんだから」少し大人になったさきの笑顔が、毎日輝いて見えた。
「ごめん、ごめん」どこか寂しさを隠しながら美佐子は言った。
「気をつけてね。いってらっしゃーい。」「はーい。行ってきまーす。」何気ないいつものあいさつ。
美佐子は年頃になったさきを、寂しく思っていた…。母・ゆかりに似てきているさきが、どんどん成長していく姿を見守る美佐子にとって、嬉しさよりも寂しの方が大きかった…
美佐子が寂しく思う反面、さきも美佐子のことを思っていた。
もしかしたら、私を捨ててどこかに消えてしまうんじゃないか……母のようにどこかに消えてしまうんじゃないか……
さきは物心がついたときから、どこかに不安が宿っていた。でも、いつも私のために頑張ってくれている美佐子を思うと、やっぱり聞けなかった。
進学にも少し戸惑っていた。美佐子のことを思うと、あまり心配させたくはなかったから…
でもね。
美佐子お姉ちゃん。
いつも私のこと思ってくれてありがとう。頼りのない私だけど、何かあったら美佐子お姉ちゃんも私に頼ってね^^
こんなことでしか気持を伝えれないけれど、いつもありがとう。
byさき