revave
エレベーターに寄りかかり、携帯を耳に充てる。

プルル…と何回か音が回った後、リョウは電話に出た。


「はーい」


「もし、俺、分かる?」


「分かるよ、真央チャン」


「真央「チャン」ってやめてよ。まるで女の子みたいだ」


そう言うと、クスクスと電話の先で笑いながら、低音の落ち着いた声で優しく尋ねてきた。


「どうしたの?お店は終わったの?」


「おう。いま終わった。リョウの声が聞きたくなって電話した」


「ぶっ」


「マジで」


「キモいよ」


「酷くね?
ねっ、今何してる?」


「何もしてないよ」


「ドライブ行かない?」


「いいよ」



リョウはあっさりしすぎるくらい、まるで警戒心もなく俺の申し出にOKをだした。


それは意外だった。



意外過ぎるほど、何もかもが俺のシナリオ通りに進んでいると思った。


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