revave
「眠ろうと思ってたんだもん」


リョウの家の近くまで迎えに言った俺に、リョウが開口一番嘆いたセリフ。


「何も言ってねェよ」


店にいた時の真っ白なワンピースとは違い、赤いティシャツにスエット。まるでもう寝てしまうところだったような格好だった。


化粧も全て落としていたが、それも何ら変わりなく、透き通るように真っ白だった肌が、スッピンでも変わらないということを知らしめた。



「取り敢えず乗れって」


車の窓を半分開けたら、真夏の朝の爽やかすぎる風が車内に流れる。



助手席に乗り込んだリョウは、黒い皮のシートをバシバシと叩いた。



「かっこいい、車」


「ボロだよ。ボロ」



「あたし、こういう広い車大好きなんだ」


シートを少し倒し、窓をちょっとだけ開いた後、居心地良さそうにリョウは目を閉じた。


警戒心の欠片も無い、少女のような子だった。



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