revave
俺は、家族の話をされるのがあんまり好きじゃなかった。


いきなり無表情になった俺を見て、明らかにリョウは不安そうな表情を浮かべた。


自分から話しておいて、なんて身勝手なやつだろう。



それを振り払うかのように、笑顔を作り話題をリョウの方へ持っていった。



「リョウは?」



「あたしも五人」


「何番目?」


「末っ子だよ」


「んじゃ、可愛がられて育ったろ?」



リョウは眉毛を下げて笑い、首を横に振った。


「真ん中じゃないのに、あたしはひねくれちゃった…。
えへへーあたしね、仕送りだけはしてもらって、家にはいて欲しくないんだって」


明るくは言っていたが、酷く傷ついたような横顔を見せた。



よくある話。
全部よくある話で、傷を負っていて、孤独である人間であればあるほど良い。


そういう人間程、俺のように腐った人間のうわべの優しさに騙されるんだ。


俺は人の傷を利用する。


まるで自分の傷を隠すように。


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