愛の終わりを奏でたい
午後4時の待ち合わせ時間ちょうどに、わたしは通い馴れた喫茶店のドアを開けた。
『いらっしゃいませ』
カウンターでコーヒーカップを磨いていたマスターがそう言いながら顔を上げる。
マスターはわたしに気付くと、少し驚いた顔をした後、笑顔を向けて言った。
『久しぶり、ですね』
『マスター、ご無沙汰してごめんなさい。』
ぐるりと店内を見渡して、わたしもマスターに笑顔で答えた。
達也は、まだ来ていない……。
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