月恋 tsukiren

通学路にあるグラウンド。
ふと、目をやると、陸上部のウインドブレーカー。
同じ学校の生徒が1人で走っていた。
ただ今の時刻、6:20。
部活にしては早すぎる。
不思議に思い、私は足を止めた。
それに…
その姿があまりにも一生懸命で。
見られずにはいられなかった。
1人でグラウンドを走り抜ける姿。
フェンス越しに見つめる私。
何分、そうしていただろう。
その姿は、私のところへかけよって来た。
私は驚いたのと同時に、すごい恥ずかしくなった。
私がずっと見てたことに、気付かれたと思ったから。
「…おはよう」
とりあえず挨拶!!
と思い、私は顔を下げたまま言った。
「おはよ」
…どこかで聞いたことがある声。
ゆっくりと顔をあげる。
目の前には、大きな二重の目で、しっかりとした顔つきの男の子。
それは、同じクラスで、隣の席の…
高野大翔(たかのひろと)だった。
いつもはふざけてて、人をからかってばっかで、本当にバカで…
最低な奴。
どうして高野が…??



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