プライダル・リミット

詮索

「マダムは知っているんですか？　リュウの過去を」
　マキオは単刀直入に訊いた。
「アタシはカナちゃんから２人が上京する前にバンドを組んでいたって聞いたくらいで詳しいことは知らないの。それに、こういうことは他人の口から聞くことじゃないわ」
　マダムはカナからすべてを打ち明けられていたがあえて触れなかった。２人とレイの関係には。これ以上は他人が足を踏み入れるべき領域ではないと。しかし、マキオは確信していた。“レイ”という人物が２人の関係に、リュウの過去においてマストなキーパーソンであることを。
「レイって……誰ですか？　あの２人に何か関係があるんじゃ……」
「それは……」
　返答に困ったマダムに代わってカナが口を開いた。
「それは……そのことは私から話すわ」
「カナちゃん」
　マダムは心配そうにカナを見つめた。
「いいんです……」


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