プライダル・リミット
 カナはマキオの前に座ると、静かに話し始めた。
「レイさんは、あの2人の幼馴染なの。家が近かったこともあって、小さい頃からすごく仲がよかった。幼稚園も小中高と学校も同じで、卒業してもずっと一緒だった。あのことがあるまでは……」
「あのこと?」
「ええ。あれはアイツ《リュウ》のハタチの誕生日だった。アイツはハタチになったら音楽で上京するって決めてたの。それまではアルバイトで上京資金を貯めながらショウくん達とバンドやって……。楽しそうだったな。あの頃のアイツ……。アイツが上京する時もショウくんとレイさんは喜んで送り出してくれた。それがあの日、レイさんがアイツを見送りに駅に向かう途中で不慮の事故に遭った。横断歩道を赤信号で渡ろうとして車にはねられたそうよ。当然、すぐにショウくんからアイツに連絡が入った。でも、アイツは戻らなかった……。アイツはレイさんより夢を選んだの」
「そんな……リュウが……」



< 112 / 204 >

この作品をシェア

pagetop