プライダル・リミット
「レイさんは一命は取り留めたけど下半身不随の後遺症を残してしまった。一生歩けない体になってしまったの。レイさんは早くに両親を亡くして親戚の家に預けられていたんだけど、事故に遭ってからは障害者用の施設で暮らしているわ……。それからよ。あの2人が音信不通になったのは。あれ以来、アイツ《リュウ》は自分を責めてる。ショウくんもアイツを責めてる。だからアイツはショウくんに何も言えなかったのよ」
「そんなことが……」
「でも、私はあの事故はアイツだけのせいじゃないと思ってるわ! だってそうでしょ!? 赤信号で渡ろうとしたレイさんが悪いんじゃない!」
 口調が荒らいでいくカナにマキオは少したじろぎながらも、まだ大事な部分を隠されているような気がした。何かが引っ掛かる。そう、違和感。空白のパズル。その枠にはあとスリーピース足りない。
「話してくれてありがとう」
 マキオはとりあえず納得した顔を見せて店を後にした。





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