プライダル・リミット
マキオの驚いた表情を気に留めることもなく、カズは話を続けた。
「リュウさんとショウさんにとって姉さんはただの幼馴染み、だけではありません。そこには恋愛感情がありました。ショウさんは何度も告白したけど、姉さんは一度も受け入れなかった。ショウさんはフラれるたびに他の女と付き合ったりして。自分の気を紛らわせたかったのか、姉さんの気を引きたかったのか……。姉さんはリュウさんのことが好きだったんです。リュウさんも。だけど、2人が恋人になることはなかった。それがあの日、リュウさんが上京するあの日、リュウさんが初めて姉さんに告白したんです。“一緒に来てほしい”って。姉さんは急いで待ち合わせ場所の駅に向かいました。そして、事故に遭った……。それからショウさんは毎日姉さんの見舞いに訪れました。面会謝絶でも、病院から施設に移ってからも。ショウさんは最初からリュウさんを責めていたわけではありません。2人の気持ちを知っていたから……。だけど、ショウさんが何度も何度も連絡しても、何日も何日も待ってもリュウさんは帰って来ませんでした。ショウさんはそれが許せなかったんだと思います。それでいつしか、姉さんが歩けなくなったのはリュウさんのせいだと思い込むようになって……。ショウさんもわかってるはずなんです。リュウさんだけの責任じゃないことは。でも今はそれを受け入れずにいる……」
「リュウさんとショウさんにとって姉さんはただの幼馴染み、だけではありません。そこには恋愛感情がありました。ショウさんは何度も告白したけど、姉さんは一度も受け入れなかった。ショウさんはフラれるたびに他の女と付き合ったりして。自分の気を紛らわせたかったのか、姉さんの気を引きたかったのか……。姉さんはリュウさんのことが好きだったんです。リュウさんも。だけど、2人が恋人になることはなかった。それがあの日、リュウさんが上京するあの日、リュウさんが初めて姉さんに告白したんです。“一緒に来てほしい”って。姉さんは急いで待ち合わせ場所の駅に向かいました。そして、事故に遭った……。それからショウさんは毎日姉さんの見舞いに訪れました。面会謝絶でも、病院から施設に移ってからも。ショウさんは最初からリュウさんを責めていたわけではありません。2人の気持ちを知っていたから……。だけど、ショウさんが何度も何度も連絡しても、何日も何日も待ってもリュウさんは帰って来ませんでした。ショウさんはそれが許せなかったんだと思います。それでいつしか、姉さんが歩けなくなったのはリュウさんのせいだと思い込むようになって……。ショウさんもわかってるはずなんです。リュウさんだけの責任じゃないことは。でも今はそれを受け入れずにいる……」