プライダル・リミット
「そうだったのか……」
 マキオの相槌は真相を語るカズに対してというよりも違和感を抱いていた自分自身に対してかもしれない。なにしろ欲しかった残りの2つを同時に手に入れたのだから。
 “カナのパズル”に足りなかったピースの2つ目――レイの行動――あの日、なぜレイは1人でリュウを見送りに行ったのか。幼馴染みで仲も良く、常に一緒にいたような3人なのになぜ、あの日に限ってレイは1人だったのか。リュウの門出ならそこにショウがいてもいいはずだ。
 そして最後の3つ目――カナの恋心――あの時、なぜカナはリュウを擁護するような発言をしたのか。確かに法的にはレイの事故とリュウの言動に因果関係は認められないだろう。しかし、人間の感情的にはリュウにも大なり小なり責任の矛先が向いてもおかしくはないはずだ。
 マキオは直感していた。カナの話を聴いた時に「まさか」と思った。それがカズの話を聴いて「やっぱり」に変わった。以前、カナが“リュウとは血が繋がっていない”と打ち明けてくれた時の言葉と繋がった。カナはリュウに兄妹としてではなく、異性として恋心を抱いている――。




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