プライダル・リミット
「レイに会いに行くことにしたよ」
「そう。よかった……」
「俺が決断できたのもお前のおかげかな。レイのことも、バンドのことも」
「バンド? やるの? またショウさんと?」
「ああ。スライダーズジャイロ再結成だ。まだまだ障害はあるけどな。今度は俺達が頑張る番だ」
「そうか。そうなんだ」
「ったく、無理しやがって。バーカ」
「うるさいなぁ、もう」
「ありがとな」
 リュウはマキオの肩に腕を回した。
「まあね」
 マキオはリュウを受け入れた。
「調子に乗んな」
 リュウはマキオの頭をグシャグシャに撫でた。
「ちょっとやめてよ」
 マキオはふてくされながら髪を直した。
「感謝してるぜ」
 リュウが呟いた。
「……」
 マキオは胸がいっぱいになった。
「牛丼おごってやるよ」
 リュウが立ち上がった。    
「うん」
 マキオも立ち上がった。
 2人は夜の公園を歩いた。
「お前さぁ、策士が策に溺れるどころか我を忘れてどーすんだよ」
「うるさいなぁ、もう」
 桃色の花が満開の並木道。春の季節に桜咲く――。

(リュウ、こちらこそありがとう)
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