プライダル・リミット
 スタジオの扉を開けると、それぞれギターとベースを持ったショウとケイが立っていた。
「よぅ」
 ショウが声を掛ける。
「はじめまして」
 ケイが挨拶する。
「どうも」
 マキオはどんな顔をしていいのかわからなかった。
「君がマキオくんだね? よろしく」
 ケイはマキオに近づくと右手を差し出した。カズの話とは似ても似つかぬ態度にマキオは少しまごついた。知的で紳士的、それでいてどこかミステリアスな雰囲気を纏ったその男は優しい笑顔でマキオを迎えた。
「こちらこそ」
 マキオはケイの手を握った。
“ガチャッ”
 突然スタジオの扉が開く。
「おせぇよ!」
 リュウが言った。
「すいません!」
 カズだ。視界はすぐに2人の姿を映した。
「ショウさん……ケイさん……」
 カズは感慨深げに2人の名を呼んだ。ショウとケイは笑顔で応えた。カズに笑顔が溢れた。
「これでみんな揃ったな」
 リュウはそう言うとドラムセットに座った。
「ラストライブ!」
 リュウの言葉にマキオとカズは耳を疑った。「ラストライブ!?」2人は顔を見合わせた。


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